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NECパーソナルプロダクツ(以下NECP)は2008年7月にパソコン業界として初めて「エコ・ファースト企業」に認定されました。本制度は業界のトップランナーとして、環境対応が先進的であり、独自性があり全国の模範となる企業を認定する環境省の制度ですが、同社は認定に値する企業であることが、特集の1~3によって十分に理解することができました。
地球温暖化防止では、トップランナー製品の開発、RFIDシステムの活用、循環型社会の形成では、NECリフレッシュPC植林プロジェクト、環境意識啓発では、「エコモチ」が特に先進性、独自性を強く印象付けられました。こうした素晴らしい取り組みは、今後グループ内はもちろん、広く社会にそのノウハウを提供されることを期待します。NECPではエコ・エクセレンス層が96.1%にも達成していますが、日本の市民層の96%がエコ・エクセレンス層となればわが国は世界に冠たる「エコ・ファースト国」となることは言うまでもありません。NECPのCSR活動の一環として社会への提供に尽力いただければNECPの社会的存在価値は大きく飛躍することでしょう。
約束の一つである地球温暖化防止は、極めて重要な局面に直面しており、各主体において責任ある対応が求められています。NECPでは製品、工場、従業員の3つの視点で取り組まれ、大きな成果が生まれていることが報告書から伝わってきます。工場での削減は、目標を前倒しで実現し、さらに実績を上回る目標を設定しており、その意欲は高く評価されます。ただ、2008年度は製品総出荷量も減っており、RFIDシステムの活用などの施策がどの程度寄与しているかが定量的に見ることができません。こうした場合には、実質製品総出荷量で調整値を示すほか、個々の施策による低減量、売上高原単位なども同時に示されると説得力が向上すると思います。
環境報告は高いレベルに達成していますが、社会の要請はより高次になってきています。個々の項目については、その成果だけでなく丁寧なプロセス報告が求められてきています。さらに、報告項目も生物多様性や環境金融、環境債務など拡大してきています。エコ・ファースト企業として、こうした社会の要請にも積極的に対応されることを期待します。
環境報告の充実に比して、社会性報告は残念ながら“一層の努力をしていただきたい”レベルにあります。毎年行われている「環境・社会報告書に関する読者の意識調査」(NTTレゾナント、三菱総合研究所)では読者の重視する項目のベスト3は、「雇用・正当な労働」、「従業員の健康・安全」、「仕事と家庭の両立」で何年にもわたってこれらの項目は変わっていません。
本報告を拝見しますと、健康面での記載はあるもののこうした要請に応えた報告としては、乏しい面があります。なお、健康面では、社会的な課題として深刻化するメンタルヘルス面の実態を踏まえたケアについての記載を期待します。
報告書は毎年、その発行形態、内容が変化しています。これは、読者の利便性、コミュニケーション力の強化、環境負荷への配慮、社会的関心への対応によるものです。NECPにおいても、昨年までの“主要事項は冊子、詳細はWeb”という発行形態からWebのみでの公開に切り替わりました。こうした切り替えによって、報告書の最も重要な機能であるコミュニケーション力がどのように変化したかを報告した事例はありません。環境負荷の低減とともにコミュニケーション力(例えばアンケートの回答数やアクセス数)がどのように強化されたかを定量的に報告していただくことを強く期待します。

プロフィール
新聞社で25年勤務後、環境ベンチャー企業広報、出版社編集主幹を経てフリー。
関東学院経済学部非常勤講師のほか、環境プランナーERコース講師、報告書作成セミナー講師、企業内CSR講師などを務める。2005年以降、毎年300数十社の報告書を読み「報告書の動向-パフォーマンスとアカウンタビリティのベストプラクティスに向けて-」を発表している。
* 循環型社会研究会:次世代に継承すべき自然生態系と調和した社会の在り方を地球的視点から考察し、地域における市民、事業者、行政の循環型社会形成に向けた取り組みの研究、支援、実践を行うことを目的とする市民団体
http://www.nord-ise.com/junkan/
当社のCSR活動のあり方についてNPO循環型社会研究会 山口民雄氏に「第三者意見」をいただきました。
今年度のレポートでは、「エコ・ファーストの約束」の進捗状況を報告する最初の年として取り組み内容を中心に構成しました。第三者意見にある通り、高い評価をいただいた反面、コミュニケーション力などご指摘があった点については真摯に受け止め、今後も読者の方々にご理解いただきやすいレポートをめざします。
さらにCSR活動を高めていき、ソーシャル・ファースト企業にもなれるよう不断の努力をして参る所存です。